2007/04/10(火) 11:06:17 [雇用制度論]

労働力不足時代の対応で退職者の復職制度が採用されている。
次の記事はカゴメの事例である。

カゴメ、自己都合退職者の復職制度を新設

 カゴメは19日、自己都合退職者の復職制度を新設したと発表した。結婚や配偶者の転勤などの理由で退職した社員の能力や技術を再活用する。他社へいったん転職した社員も対象とする。優秀な人材を集め競争力の強化につなげる。

 自己都合退職者全員(60歳まで)が対象で、制度新設を約300人に往復はがきで案内する。7月から復職希望者の登録を受け付ける。転職者は他社に勤務中でも登録することができる。登録時にはパートタイムかフルタイムかなど勤務形態についても希望も聞く。

 同社は登録リストを作成。全国の支店や工場などで人員の補充が必要となった場合、当該部署からの要望に見合った人材と1年以下の期間契約社員としての再雇用契約を結ぶ。給与水準は未定。復職者の希望と能力が認められた場合、正社員へ復帰する可能性もある。

2006/4/19 NIKKEI BIZ

かつて在籍した人の業績ははっきりしているので中途採用よりはリスクは少ない。加えて社内事情に詳しく文字どうり即戦力である。

短期的には補充要員としての扱いだが長期的には社外経験を積んだ人材の確保という視点で、期限付きでリターンができるという制度が考えられる。

新卒に対して一定の年限有効な入社内定を与える会社がある。一旦退社する者に対しても同様に3年程度の期間の復職制度はキャリアの蓄積という観点で必要がある。

かつて教育の一環で社外経験を積ませた会社があった。これはそのことと同じ効果だ。積極的に導入する価値がある。勿論一定の条件をクリアすることを条件とすることは当然だ。

就業制度の多様化(短時間労働、週休3日、SOHOなど)を基本とするが休職制度ないし復職制度も重要な検討課題である。

2007/03/25(日) 12:24:06 [雇用制度論]

次の松下電器の人事評価は大上段に振りかぶったもの。
松下、人事評価を点数制に

 松下電器産業は4月から社員の人事評価に完全ポイント(点数)制を導入する。職務に必要な技能(スキル)を約450に分類、社員の各分野での能力を数値化する。部長職に相当するグループマネジャーまで約7万5000人の社員が対象。細かく数値化することで評価を分かりやすくし、公平感を高める狙い。大手製造業が人事評価で全面的にポイント制を導入するのは珍しい。

 松下は所属部署での「貢献度」と、各自が持つ「スキル」の2つで社員を評価している。貢献度は2年前から数値化したが、スキルの評価は明確な基準が乏しかった。

[2006年3月25日/日本経済新聞 朝刊]

評価は所詮いいか、悪いかだ。どちらでもなければ標準だ。細かく数値化すれば分かりやすくなるという考え方は全く疑問だ。

所詮各職務に要求されるものは細かくすればするほど独自の評価要素に分けられる。技術系と事務系の仕事が細かな点で一致するはずがない。まして450もスキルを分類するというのは無謀なこと。

更に技術は日進月歩で進歩するもの。松下のやり方では毎月のように評価要素の見直しが不可欠となる。

そもそも制度は各人への納得できる基準を与えるもの。他の職務の細かなスキルの有無が評価とどう関係するか誰も正確に判定はできない。

評価は基本的な要素を判定すればそれで足りるもの。やたら細かくしたら却って比較できなくなり分からなくなる。
デジタル化を進める松下のやり方は明らかに間違いだ。

2007/03/22(木) 13:48:32 [雇用制度論]

職種別賃金体系や職種別採用が導入されている。世間水準を意識した賃金管理で無駄なコストを削減する狙いがある。次の武田薬品が典型例だ。

武田が職種別賃金導入・高水準下げ採用再開

 武田薬品工業は28日、職種別賃金制度を導入すると発表した。第1弾として製造職と一般事務職、実験などを補助する研究補助職の3職種について4月支給分から適用し、最終的に全21職種に導入する。賃金水準を他産業に近づけることで、国際的なコスト競争力の維持と人材確保の両立を狙う。

 第1弾として導入する3職種は他産業に比べて賃金水準が高いため職種別賃金の導入で下がることになる。今後5年は現行水準の月例賃金を補てんするほか、賞与は段階的に新たな賃金水準に移行させる。

 製造職や研究補助職は賃金水準が下がることで総人件費に余裕が生まれるため、中止していた新卒採用を再開する。製造職は1998年から、研究補助職は97年から新卒採用がなかった。

[2006年3月1日/日経産業新聞]
終身雇用の崩壊で企業に囲い込むための賃金政策は終焉を迎えつつある。世間より高い給与を保証し一生を安心して託せる考え方が企業経営だったが職種別の水準を維持すればいいということだ。

結局職種別の賃金水準は世間水準とし、無駄な(世間より高い部分)は下げるということだ。必然的に給与は配属された職種で差をつけようということだ。

特に異なる業態を一つの会社で経営している場合はある意味で必然の流れなのだ。給与を高い業態に合わせれば全体的にコスト高となる。

課題は配属権を会社が専権事項として保持していることについて適正な見直しが必要である。
本人が希望しない所属でそれがゆえに低い賃金で我慢しろということは酷なのだ。

必然的に進む職種別賃金と配属権を社員に渡す新しい仕組みが構築される必要がある。就業条件の多様化と並んだ重要課題である。

2007/03/21(水) 08:51:25 [雇用制度論]

退職金の前払い制度が進行中だ。退職金を引当金で持っている会社は無税引当をいずれなくすという行政の動きから従来年金化を進めてきた。

しかし年金の規程額を支払うためには追加原資が必要な経済情勢が続いたことで年金移行は鈍ってきた。年金基金の運用が予定の運用益(予定利率)の足せず、基金によっては基金そのものが減少した。

団塊世代の定年退職を目前にして負担の多い年金制度は嫌われ、次第に一定額しか拠出しない年金(確定拠出年金)が年金の主流になりつつある。

更にバブル崩壊後、年功序列・終身雇用が見直され定年まで勤める人が減少したことも退職金や年金制度の魅力を失わせてきた。

退職金は老後生活費の支えであり政府の退職金や年金政策は疑問があるが、社員にとっても将来の不確実な退職金(引当金)よりは現実の前払いを求めるニーズがある。

退職金前払いに関する記事

全社員に退職金前払い制  日興グループ、来春から

 日興コーディアルグループと傘下の日興コーディアル証券は26日、現行の退職金・年金制度を廃止し、積み立て分を毎月の給与に上乗せして払う「退職金前払い制度」を、来年4月から全社員対象に導入すると発表した。

 前払い制度は松下電器産業などが従来の退職金制度との選択制で導入しているが、全社員を対象にするのは上場企業全体でも珍しい。

 日興グループは、業務範囲の拡大や専門化を受けて即戦力の中途採用を増やしており、退職金制度を廃止して人材流動化に対応する狙いがある。

 対象は合計で約5000人。来年4月時点でこれまでの積み立て分を一時金として払い、前払い制度に移行する。一時金費用として来年3月期決算で90億円の特別損失を計上する見通しだ。(共同通信)

Kyoto Shimbun News 2005年12月26日(月)

退職金の前払い制度はこうした背景で更に導入する企業が増えるものと思われる。ただし確定拠出年金の導入も一つの検討課題である。

2007/03/19(月) 13:59:55 [雇用制度論]

定年延長の義務化は今後更に進められる。公的年金制度を考慮すれば定年なしよりは定年60歳+再雇用(当面65歳、将来は希望年齢まで)というあり方が一つの考え方である。

60歳を越えれば健康は個人差が極めて大きい。一律70歳までの雇用保障は企業にも社員にもリスクが大きい。公的年金制度がどういう動きになるかにも影響されるが個人差の大きい年齢での一律処遇は問題が却って大きい。

定年制度を60歳までの全員の労働義務とそれ以上は個々の事情を反映した雇用制度を構築することだ。働き方も正社員のフル労働型のみならず時短型や短期間労働(週休3日、4日)型など多様な働き方を認めたい。

21世紀は個人の事情に応じた労働制度が必要だ。農業や漁業との兼業や自分の趣味や特技を生かした生活を認めたい。何も1社の仕事だけをやることが絶対ではない。多様な人生を過ごす社員の集団が理想だ。

配属先は変わってもいい。社員の選択が可能な定年制度が必要だ。健康チェックは目を凝らしてがんがんにやるべきではない。健康度に応じた仕事に配属する権限は会社が留保すればいい。
しかし断ることは原則しないという態度が望ましい。

2007/03/17(土) 12:59:25 [雇用制度論]

機械大手、60歳以上も賃金に業務成績を反映
([2006年1月7日/日本経済新聞 朝刊])

機械大手各社は65歳までの雇用継続にあたり、業務成績に応じて高年齢の従業員の賃金に格差を付ける。

三菱重工業は2006年度から60歳以上を対象に、毎月の基本給に最大6万円の変動幅を持たせる。

富士電機グループは60歳以上の賃金水準を成績に応じて上下させる制度を6月に導入するため、組合と交渉中。技能伝承が課題のなか、若手育成などの目標管理で働く意欲を維持する狙いだ。

 三菱重工は段階的に65歳まで再雇用の上限を引き上げる。06年度から希望者を原則再雇用する新制度へ切り替えるため組合と協議中。60歳以上の賃金に格差を付ける仕組みも導入する。

定年時点では基本給の差がランクごとに2万円の開きでスタートするが、成績に応じてプラス・マイナス最大3万円で基本給を変動させ、定年後の逆転を可能にする。

60歳という年齢は健康状態の個体差が大きい。従って恒久的な制度として定年延長よりは再雇用制度が定着する可能性がある。暫定的な付け足しの制度であれば一律の給与決定でもいいが、(当面)動かない制度であれば、再雇用制度自体の定着が必要だ。

上記記事は機械大手が60歳以上も勤務成績による給与査定を行なう動きである。再雇用制度自体の活性化を狙うものであり「当面60歳+65歳までの再雇用」が主流になる中での動きだ。

健康が許せば希望者全員が再雇用対象になることが必要だがその流れで考えれば、再雇用5年間の成果が問われるのは当然のこと。

2007/03/15(木) 12:05:35 [雇用制度論]

定期昇給は前年度の基本給に加算する昇給額である。従って理論上昇給0が最低限の加算額となる。昨年度の給与以下にはならないのだ。

しかも実際の昇給は標準額が決まっており優秀者には30%から50%の加算、業績劣悪者でも標準額の一定割合、例えば標準額の50%が昇給される仕組みだ。

いわば誰でもそれなりの昇給が期待できることが会社への忠誠心を生み社員の安定感が得られる、極めて暖かい制度といえる。

理想的な労務構成においては(筒型の労務構成であれば)会社の定期昇給原資は不要だ。

例えば、エスカレーターに1段に1人づつ人が乗って1Fから2Fに上っている。

一番下が新卒社員、徐々に会社の階段を上る。係長になり、課長になり、最後に定年でエスカレーターを降りる。
毎年4月に階段を1段づつ上がる。これが、本給の定期昇給。

各階段に1人づついる場合は、会社の賃金原資は変わらないが、社員は給与が毎年階段1つ分増える。
  • マクロ的にみれば、当面団塊世代の大量退職でエスカレーターから降りる人が多く、会社の定期昇給原資はむしろ年々減る傾向にある。

    新定期昇給制度は通常は積み上げ額の査定だが、全体の基本給の減額と定期昇給の上限額を超えた特別査定を組み込む。

  • 例えば、資格別の業績目標を設定し毎年それに対する努力、達成度を査定する。際立った業績悪化や超優秀な業績に対して特別査定をおこない定期昇給の査定ではなく、業績レベル、能力レベルなどを総合評定し大胆な昇給や減額を行なう。

  • その他の社員は業績の程度に応じて、資格別評価別定期昇給を行なう。

    そもそも業績主義体系でも評価基準は明快ではない。どの所属にいるかという運不運も付きまとう。極端な事例への特別査定が組み込まれれば業績主義の長所は取り込める。

  • 標準額は各社の実態と世間水準との差異や全体の昇給原資を総合勘案して決定する。

    昇給制度と賞与での業績評価・配分(会社業績及び個人業績)と全体像を作り上げることだ。労働力不足時代の到来でこうした新定期昇給制度は真剣に考える意味がある。
  • 2007/03/13(火) 10:46:01 [雇用制度論]

    大和ハウスが独自の育児支援 有休100日積み立て可

    2005年08月25日21時56分 ASAHI COM より

     労働基準法では2年間で消滅する「年次有給休暇」を、独自に100日まで積み立てることができる制度を大和ハウス工業が導入した。休暇をとりやすくして、従業員の育児や介護などを支援することが狙いだ。

     労基法によると、年次有給休暇は勤続年数によって最低付与日数が増え、一般には6年半以上勤務すると年20日となる。

     その年に有休が未消化だった場合、翌年まで繰り越せるが、労働者が1年に消化できるのは40日まで。同社は法定日数に上乗せする形で、翌々年以降の繰り越しも含め、通算100日まで認めた。法定日数と合わせて最大で年140日の有休が可能になる。厚生労働省は「これほど長期の有休積み立てはあまり聞いたことがない」という。

     入社3年目以降の従業員が対象で、今年度から有休の積み立てを実施しており、実際に利用者が出るのは先のことになる。休暇の用途は、育児、介護、ボランティア参加や傷病の治療、定年後に備えた学習などに限定する。育児に利用する場合、子供が1歳になるまで取得できる法定育児休業(事情に応じて1年半まで)の後で、積み立て分を使用できる。

     給料を受け取りながら仕事を休むことができ、同社は「ボランティアなどにも積極的に取り組む姿勢を定着できれば」と話している。

    最近育児支援策が積極的に導入されている。こうした制度は出産、育児という事実に着目したもの。しかしこうした事実がなくとも、長い人生の節目で長期休暇を希望する人は多い。

    永年勤続休暇を持っている会社もあるが自分の都合で自分の望むタイミングで長期休暇が取れる制度を導入したい。

    そこで冒頭の大和ハウスのような積立休暇制度(Saving Vacation)がお勧め。1年間の未使用の有給休暇を積み立てることを認める。

  • 有給休暇の趣旨から積立日数は1年間5日程度を限度とする。5年積み立てれば25日となり1ヶ月以上の長期休暇が可能となる。

  • 積立休暇は最高限度を設けない。使用は3ヶ月から6け月程度事前の申請で認める。使い道は制限しないが制度の趣旨からまとまって取得することが条件である。1日単位なら有給休暇で十分だ。また傷病などへの転用も可能とする。

    要員管理も考え方を変えこうした長期休暇への交替要員を制度化する。ある一定の組織単位で設定すればいい。この制度は長期休暇にみならず短期的な休暇取得にも効果的な結果が期待できる。

    就業制度の多様化・弾力化は少子化・人口減・労働力不足時代の乗り切りのため人事制度の課題である。
  • 2007/03/09(金) 13:42:18 [雇用制度論]

    殆どの会社の就業規則には「転勤を命じることがある」との条項がある。会社業務を円滑に進めるためには必要だ、経営権の一部として配属権があるという考え方だ。

    社員は転勤できない理由がない限り転勤には応じざるを得ない、むしろ転勤族は出世コースに乗るという意味合いがかなり強かった。

    しかし終身雇用制度が崩壊し、業績主義が浸透を始めていることから配属権が会社から社員へ委譲されなければならない。

    雇用が保証されない中で会社が決めた仕事に従事しながら途中で解雇された場合には会社の命じたキャリアで次の職が見つかるかは分からない。

    こんな例がある。
    有名国立大学の工学部出身者がある家具メーカーでその会社のデザインや特許の管理だけを担当してきた。突然この会社が倒産し50歳で再就職探しを余儀なくされた。

    課長だった彼は他社で自分が何ができるか全くイメージできなかった。家具会社のデザインの管理という極めて狭い範囲の経験では他社の課長として通用しないのだ。
    結果彼は浪人して今年で5年になるが未だに就職はできていない。

    また成果主義賃金体系では所属の業績が給与、とりわけ賞与の多寡に直結している。
    会社が決めた職場であって業績が悪い場合は給与のダウンは自分のせいではないという不満が強いのだ。

    そこで思い切って転勤は社員の同意を採る制度に改革することを提案したい。
    予め転勤を予定するグループと転勤のないグループに峻別した処遇制度や採用政策などこれからの時代にあった制度へ改革すべきだ。

    社内公募制度の導入や新しい働き方(在宅勤務、短時間勤務、短日労働など多様化)への対応も転勤・配属権を社員に渡すことで機能してくる。発想を変えた人事政策が有能な社員を集めることができる。

    2007/03/05(月) 13:32:48 [雇用制度論]

    2005年8月17日 読売新聞に次の記事が掲載された。
     本人の能力や業績に対する貢献度などをベースに待遇を決める成果主義が、1990年代後半以降、浸透している。ただ、「成果」を判断する基準が不透明だという指摘や、成果主義自体が日本の企業社会になじむのかといった議論は、今も続いている。制度の内容を見直したり、検討を進める企業も多い。日本型労働慣行を改める切り札として期待された成果主義が、最適のモデルなのかどうかは、見極めにくい状況だ。

    全社横断で検証

     5日正午、千葉県習志野市にある東洋エンジニアリング本社で、役員や部課長会の代表、複数の部門の中堅管理職、労働組合幹部など約10人のメンバーが参加して会議が始まった。同社は2003年4月に成果主義を導入したが、新たな人事制度について、随時、検証を加える目的で、全社横断の会議が、ほぼ毎週催されている。

    自己目標を廃止

     キヤノンも成果主義を巡って、手直しを進めている。

     成果主義を進めるにあたっては、同社は、あらかじめ各社員の目標を掲げ、その目標達成度を基に上司が評価を下すシステムを採ってきた。だが、2005年4月からスタートさせた新人事制度では、「与えられた役割をベースに賃金が決まる仕組み」(藤井康弘・グローバル人事企画部長)を採用した。目標を掲げる必要性を見直し、各社員の職務と職責を基にした役割を明確化することにした。

    経団連も留意

     日本経団連の「経営労働政策委員会報告」は、2005年版で新たに「ただし書き」を加えた。成果主義を積極的に推進することを主張してきたが、「適切に運用するためには、留意しなければならない点も数多い」と指摘した。

     新田秀司・経団連労働政策本部副参事は「経済が右肩上がりばかりでは伸びない中で、結果を残した社員に配分を厚くするという成果主義のベクトルは変わらないが、うまく運用できないと制度が生きてこない懸念が出てきている」と説明する。報告では、具体的な留意点として、〈1〉評価基準の合理性〈2〉客観性に応じた適切な格差の設定〈3〉長期的なテーマや、目立たないが重要な仕事に対する十分な配慮〈4〉評価基準と評価結果の開示――を挙げている。

     日本企業の間に成果主義の人事制度が浸透した背景には、バブル経済崩壊後に多くの企業が収益力の回復に向け、人件費を削減する必要性に迫られたという事情がある。バブル時代にも成果主義を導入した企業はあったが、この時期には社員の労働意欲を向上させることが主目的だったのに対し、バブル崩壊後は、給料を払う原資そのものを抑制することに主眼が置かれたという特徴がある。

     このため、「人件費抑制のために成果主義を使った企業が多く、この結果、成果を上げても給料の上昇が思ったほどについてこない形となり、社員の士気や意欲をそぐ事態を招いてしまった」(東大大学院の高橋伸夫教授)と"負の側面"を強調する向きも多い。

     電機連合の成瀬豊・総合労働政策部門統轄書記次長も「成果主義の導入は、ある意味で必然だ」としながら、「性急な導入には年功序列の秩序になじんできた日本では、契約社会のアメリカなどと比べて抵抗の度合いが大きい」とクギを刺す。

     だが、一方で、「現時点では成果主義に勝る制度は見つかっていない。成果主義の課題を理解しつつ、どうすれば制度に魂を込められるかを考えた方が現実的だ」(キリンビール人事部の藤谷淳・部長代理)といった意見が根強いのも事実で、制度の改良に向けた動きは今後も続きそうだ。

    この記事にあるように成果主義は今も問題の渦中にある。基準の不明確さや目標設定のあいまいさなど大きな差をつける理由が脆弱なのだ。

    また職種への配属は会社が専権事項として決めている。成果は大きくはどの部門にいるか、配属先の影響を強く受ける。社員にはそれにより給与が大きく変わる制度になっていることへの不満がある。

    誰もが希望通りの仕事をしているのではない。会社が仕事を割り振っている。その仕事の違いが成果の違いになっているのだから成果一本で給与を決めるわけには行かないのだ。

    成果主義を賃上げ原資のない会社が導入した場合は「マージャンゲーム」的なパイの奪い合いとなる。つまり誰かが昇給するためには誰かが減額されるのだ。

    ゲームで給与原資を奪い合うにしては上記のように基準があいまいで納得感が得られにくいのだ。目標を小出しにした方が成果が高いというテクニックもある。富士通は目標設定の甘辛で目標管理制度は失敗したといわれている。

    投げやりにいうつもりはないが、例えば本来職種の違う人事部員と開発担当者とどちらの成果が大きいかというようなもの。職種の違いを反映する評価体系はできない。世間水準を無視して社内基準を独自に作っても低く評価された諸種の社員は会社からさよならするだけかも知れない。

    結局成果主義は大まかな職能段階別の目標に対する達成率,それも「上出来」か「目標どうり」か「だいぶ足りない」かの3区分ぐらいで導入すればいい。

    なぜ上出来か?、なぜ足りないか?、を具体的な事実で話し合うことだ。納得できるまで話し合うためにも、社員の意見をくみ上げることだ。例えば自己申告させることを組み込めばいい。

    精緻な基準作りに邁進するのはあまり賢いやり方ではないように思う。